新たに会計事務所で働きたいと考えている方から、このような話を聞くことがあります。
会計事務所で働くには税理士が必須と聞いたので、まずは資格を取ります!
少なくとも、税理士科目2科目くらいは持っていないと、採用してくれないんでしょ?
このような相談について、会計系転職エージェントとして、約10年活躍してきた筆者が回答していきます。
具体的には…
・会計事務所で働くには、税理士資格や、税理士科目は必要なのか?
・税理士資格・税理士科目がない場合の仕事内容
・どのタイミングで会計事務所への転職活動をすべきか?
について、解説をしていきたいと思います。
会計事務所で働くには、税理士資格や、税理士科目は必要なのか?
結論から言うと、
税理士資格がなくても、会計事務所・税理士法人で勤務することは可能です。
実際会計事務所には、
- 税理士
- 税理士科目合格者(1科目〜5科目)
- 日商簿記2級
- 日商簿記も持っていない方
などさまざまな資格の方が働いていらっしゃり、必ずしも税理士資格がないと働けないわけではありません。
そこで浮かんでくるのがこんな疑問です。
とは言っても、資格持っていない人って、事務作業とか、雑用とか、お茶くみとかしかさせてもらえないんでしょ?それじゃ会計事務所で働く意味がないよ
果たして本当にそうなのでしょうか?
次に、税理士資格を持っていない場合の、会計事務所での仕事内容を解説します。
税理士資格・税理士科目がない場合の仕事内容
では、税理士資格・税理士科目を持っていない人、その中でも日商簿記2級程度の方が会計事務所で働く場合、どのような仕事に従事することとなるのでしょうか?
結論としては下記のとおりです。
・記帳代行
・税務申告
・決算業務
・巡回業務(巡回監査)
・経営コンサルティング
…etc
そうです。日商簿記2級程度でも、会計事務所での主要業務のほとんどに関わることが可能です。
えっ?でも「税理士の独占業務」のようなものも含まれているけど大丈夫なの???
という疑問が生まれてくる方もいるのではないでしょうか?
そもそも、「税理士の独占業務」とは何でしょうか?
この税理士の独占業務は、文字通り税理士だけが認められている業務であり、税理士以外の方がこれをすると、税理士法違反となります。
では、税理士ではない方が、会計事務所で、このような業務に携わって大丈夫なのでしょうか?
結論を言うと、問題ないということになります。
なぜ問題がないかというと、
税理士の監督下で独占業務の補助的な作業を行うことはできる
のです。
そのため、会計事務所に入ることができれば、実際には税理士に近い業務の経験を積むことが可能です。
どのタイミングで会計事務所への転職活動をすべきか?
ではいままでの話を踏まえて、どのタイミングで会計事務所への転職活動をするのがベストなのでしょうか?
おすすめは
日商簿記2級に合格 もしくは 税理士科目を1科目以上取得したタイミング
です。
なぜかというと、多くの会計事務所で税理士補助として働くための採用要件で
「日商簿記2級以上のスキル」
が求められるためです。
逆に言うと、日商簿記2級以上のスキルが有れば、税理士補助としての活躍が期待できます。
でも、会計事務所に入ると勉強時間がなくなるから、もっと科目数が増えたり、税理士になってからの就職のほうがやっぱり良さそう…
という考えをする方もいるかと思います。
もちろんその考えを否定するつもりはありません。
ただ、ひとつ知っておいてほしいのは
多くの方は、会計事務所で働きながら勉強をして、税理士を目指している
ということです。
それはつまりどういうことかというと…
・5科目取得後に会計事務所に入る…他の人から「なぜ勉強と両立でスキル積まなかったの?」と思われる
・他の同年代の会計事務所従事者に比べて、業務スキルが劣ってしまう場合がある
・「私達は勉強と仕事を両立したのに、勉強だけしていたなんて…」となめられてしまうことがある
などのリスクもあるということです。
そのため、可能であれば日商簿記2級もしくは1科目以上取得後に、早めに会計事務所への転職をすることがおすすめです。
また、会計事務所では、勉強しながら働くことが一般的なため、勉強中の方に対しての制度が整っていることも多いです。
たとえば
・予備校のある日は予備校の時間に合わせて早く退社できる
・税理士試験休暇がある
・税理士試験の受験費用補助/予備校費用補助が受けられる(数は少なめ)
などです。
一般の企業ではなかなかない制度ですが、業務に直結する必要な資格だからこそ、会計事務所では資格取得のための制度が充実しています。
まとめ
・会計事務所への転職は、日商簿記2級もしくは税理士1科目以上合格後がオススメ
・税理士や科目合格者ではなくても、会計事務所で税理士に準じた仕事ができる
・会計事務所には、資格取得のための支援制度がある環境も多くある