公認会計士の方の多くは、まずは監査法人で働き、登録要件を満たしてから次のキャリアを志して転職される方が多いのではないでしょうか?
そこで考えなくてはならないのが、
いつ転職するのがベストか?
ということです。
結論から言うと、今は転職においてベストな時期であると言うことができます。
少し落ち着いたと言ってもコロナ禍だし、もっといいタイミングがあるのでは?
もう少し経験を積んでから転職をしようと思っているけれども、私くらいの経験でもすぐ転職してよいの?
という声もあるかと思いますので、この記事では
なぜ今が転職にベストな時期なのか?
について、会計系専門転職エージェントにて10年経験をした筆者が、解説していきます。
今すぐの転職をおすすめする理由:市場環境が良いから
ズバリ結論から申し上げると
市場環境が非常に良いから
です。
では「市場環境が良い」とは具体的にどのような状況か?
イメージとしては下記の通りです
・どこの企業も、仕事・案件が増えてきている
・それに伴い、優秀な人材が必要になってくる
・各社優秀な人材が必要になるので、人材が不足する
・人材の募集要件を下げてでも人材を探そうとする企業が増えてくる
つまり、市場環境が良い状況というのは
各企業が仕事・案件増に伴い、人材を求めている状況
であるということです。
市場環境が良いと、求人がたくさんある
市場環境が良い=各企業が人材を求めている状況
であるということはわかりました。
そして市場環境が良い、各企業が人材を求めているということは、転職希望者からすると
求人が多い状況
であるというメリットがあります。
ここからは、公認会計士の方の主な転職先別に求人状況を示していきたいと思います。
会計コンサルティングファーム(FAS)
クライアントが急増している状況です。
理由としては、金融機関やファンドからの紹介が増えているためとのことでした。
特に今人を求めている分野としては
・M&Aトランザクション全般
・IT×会計コンサルティング(ERP導入など)
・IPOコンサル
・フォレンジック
などです。
また、案件増に伴い人手が不足している状況なので、年収は上がり、採用要件は低下している状況です。
一般企業経理・経営企画
上場企業、非上場企業を含め、企業経理人材の求人も豊富にある状況です。
背景としては
・企業の業績が堅調であること
・ベテラン層の定年退職による人材不足
・若手層の会計系職種離れによる候補者減
などが挙げられます。
若手層が会計職種から離れているというのは、別記事でもお伝えしたとおり、AI・RPAの台頭により、経理や税理士の仕事が将来なくなるのではないか?という憶測が関係していると思われます。
IPO企業
IPO企業の求人についても、IPO自体が増えていることに伴い、求人は増加しています。
IPOのほとんどが東京に本社を置く企業であるため、東京・首都圏での案件が多いです。
税理士法人・会計事務所
監査法人→税理士法人・会計事務所への転職もニーズがあります。
公認会計士の方であれば税理士登録ができるとはいえ、未経験の会計事務所の仕事をするには、現年収から大幅に年収が下がるケースがほとんどです。
ただ、好況に伴い、年収の大幅ダウンが避けられたり、現年収程度の年収で転職ができるケースも出てきています。
監査法人
Big4監査法人→中堅監査法人、中堅監査法人→Big4監査法人への転職も、転職市場が良いことに伴い好条件で可能です。
監査法人各社も働き方改革が進んでいるため、
「監査の仕事は好きだけれども、今の監査法人は忙しすぎる」
「監査だけではなくアドバイザリーにもチャレンジできる環境に身を置きたい」
などの考えのもと、監査法人→監査法人に転職する方にも、今の転職がオススメです。
市場環境が良いことにより、給与水準が上がっている
公認会計士の転職先での求人案件が増えていることを説明してきました。
それに伴って、公認会計士の給与水準も上がっています。
基本的に公認会計士の転職先は、ほとんどの業種で過去1〜2年よりも年収水準が上がっている印象です。
具体的には、中堅の会計コンサルティングファーム(FAS)1〜2年前には年収700万円程度で採用されていた方に、今の市場感ですと年収900万円ほど提示されているような状況です。
また年収水準が上がることにより、複数内定が出た場合の年収交渉もしやすい状況となっています。
場合によっては「サインアップボーナス」と呼ばれる、1年目だけ特別に支給されるボーナスが支給されることもあります。
サインアップボーナスは、その方の評価や、企業の状況によりさまざまですが20万円〜100万円程度のことが多い印象です。
買い手市場になればそれらのメリットが失われる
ということで、現在の転職市場感を踏まえると、
・求人数が多いこと
・年収水準が上がっていること
・年収交渉がしやすいこと
などから、今のタイミングでの転職が非常におすすめです。
現在のような、転職者にとって有利な状況を、「売り手市場」と呼びます。
そして裏を返せば…
もしタイミングを逸して、企業側に有利な「買い手市場」のタイミングになると、
・求人数が少ない
・年収水準が下がる
・年収交渉が難しい
ような状況が訪れる可能性が大きいということです。
どのくらい監査法人で経験すれば、転職できるのか?
転職市場についてはわかったけれども、私のスキルで転職ができるのか?
という点についても解説をしていきます。
監査法人での経験で、評価される目安としては
・インチャージ(主査)経験をしているか?
が一つの基準となります。
監査のインチャージ(主査)を1期分以上経験していれば、上記で挙げた殆どの転職先からは、評価がされます。
私はまだインチャージ経験がないから、まだ転職は控えたほうがいいですね
今はまだ論文式試験合格しかしていないので、修了考査に合格してからの転職がいいかも…
とお考えの方も、ちょっと待ってください。
現在の市場感であれば、インチャージ経験なし、論文式合格者でも、転職できる可能性は十分あります。
税理士法人・IPO企業などは、公認会計士としての資格が重視されるケースが多いので、修了考査合格後の転職がおすすめですが、
・一般企業経理・経営企画
・会計コンサルティングファーム(FAS)
・監査法人
については、「資格やインチャージ経験よりも、会計知識があることが重要!」
と考える先も多くあります。
もし迷ったら、転職エージェントにご相談されることをおすすめします。
まとめ
・公認会計士の転職タイミングは今がオススメ
・理由は求人数が増えていること
・求人数増に伴い、給与水準も上がっており、年収交渉もしやすい
・論文式試験合格・インチャージ経験なしでも、業種によってはチャレンジできる